新生児ケアに関する解説

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NICUとは?新生児集中治療室でケアされる赤ちゃんたち

NICUの役割と機能 新生児集中治療室(NICU)は、低出生体重児や病気を持った新生児を集中的に治療・ケアする部門です。 NICUでは、新生児科医が担当しており、赤ちゃんは保育器の中で24時間態勢でケアされます。NICUに搬送される赤ちゃんは、早産で生まれた赤ちゃん、低出生体重児、呼吸器系疾患のある赤ちゃん、心臓疾患のある赤ちゃん、感染症のある赤ちゃん、代謝異常のある赤ちゃんなどです。NICUでは、これらの赤ちゃんに、呼吸管理、酸素投与、輸血、点滴、薬物投与、栄養管理などの治療が行われます。また、NICUでは、赤ちゃんの状態をモニターし、必要に応じて治療を調整していきます。
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カンガルーケアで親子の絆を深めよう!

カンガルーケアとは、親子の絆を深めるケア方法で、赤ちゃんを親の胸に抱いて、肌と肌が触れ合うようにして行うスキンシップです。母子ともに心拍数や呼吸数が落ち着き、赤ちゃんは安心感を得ることができ、よく眠ることができます。また、母乳を与える際に親子のコミュニケーションを深める効果もあります。 日本では、1980年代にカンガルーケアが導入され、今では、新生児や低出生体重児へのケアとして広く行われています。また、母乳育児の促進や、親子の絆を深めるためのケアとして、産後の母親や家族にも推奨されています。
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新生児とは?~生後4週間までの赤ちゃんのこと~

新生児とは、生後4週間までの時期の赤ちゃんを指します。 この時期の赤ちゃんは、羊水という「水中生活」から外界、つまり大気中へと、激変する環境に適応するために必死です。人の一生の中でもっとも大きな環境の変化を経験しています。 出生直後の1週間は、子宮の外の生活にうまく適応できないこともある要注意期なので「早期新生児期」と呼びます。この期間は、赤ちゃんが呼吸器系や消化器系などの新しい環境に適応するのに重要な時期です。新生児のケアは、この時期の赤ちゃんの健康と発達にとって重要です。新生児のケアには、授乳、オムツ交換、入浴、睡眠など、さまざまなことが含まれます。
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新生児にきびとは?

新生児にきびは、生後すぐから2か月ごろまでの赤ちゃんのひたいやほおに出る、にきびのようなプツプツです。このプツプツは、赤ちゃんの皮脂分泌が盛んなことが原因です。皮脂分泌が盛んになると、毛穴が詰まってしまうことで、にきびが発生します。 新生児の皮脂分泌が盛んな理由は、胎児期に母親からもらった女性ホルモンの影響です。女性ホルモンは、皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を促す働きがあります。 新生児にきびは、見た目には気になるかもしれませんが、ほとんどの場合、数か月で自然に治ります。特別な治療は必要ありませんが、清潔にすることで、治癒を早めることができます。清潔にするには、石けんで顔を洗うことが効果的です。ただし、ゴシゴシと洗うのは避け、優しく洗うようにしましょう。
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体温調節機能の基礎知識

体温調節機能とは、暑いときには汗の腺(汗腺)を開いて熱を放散、体温が上がるのを防いだり、寒いときは立毛筋(りつもうきん)が収縮(いわゆるトリ肌)、同時に皮膚表面の血管を収縮させて熱を外に逃がさないなどの機能のことをいいます。赤ちゃんはまだこの働きが未熟なため、寒い環境なら体温は下がり、暑ければ体温が上がってしまいます。そのため、室温や服装に注意して、赤ちゃんの体温を適温に保つことが大切です。
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黄疸とは?その種類と兆候

黄疸とは、胆汁色素であるビリルビン(黄色の色素)が皮膚や粘膜に沈着した状態のことを言います。赤ちゃんは生まれつきビリルビンを分解する機能が弱く、生後間もなく多くの赤ちゃんが黄疸になります。これは新生児黄疸(生理的黄疸)と呼ばれ、生後1~2週間くらいで徐々にひいていきます。 母乳で育てられている赤ちゃんの場合、黄疸が長く続くことがあります。これは母乳性黄疸と呼ばれ、1~2か月くらい続くこともあります。母乳性黄疸は、母乳に含まれる物質がビリルビンの分解を邪魔するためと考えられています。 黄疸の原因となるものは他にもあります。例えば、肝臓の病気や胆道の病気、溶血性貧血などです。これらの病気があると、ビリルビンの産生が増えたり、分解が妨げられたりして、黄疸が起こります。
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新生児メレナとは?原因と予防方法を解説

新生児メレナとは、新生児が血を吐いたり(吐血)、血の混じった便を出す(下血)病気の総称です。新生児メレナは、新生児が血を吐いたり(吐血)、血の混じった便を出す(下血)病気の総称です。新生児が何らかの出血を起こす病気の原因はいくつかありますが、ビタミンK欠乏性出血症の場合もあります。この病気は、新生児のビタミンK欠乏によって起こります。ビタミンKは、血液の凝固に必要な栄養素です。新生児は、母体から十分なビタミンKを受け取ることができず、また、出生直後はビタミンKを生成する腸内細菌が十分にいないため、ビタミンKが不足しやすくなっています。 ビタミンK欠乏性出血症は、重症化すると、脳出血を起こして死亡する危険性もあります。そのため、ビタミンK欠乏性出血症を予防するためには、新生児にビタミンK2シロップを飲ませることが推奨されています。ビタミンK2シロップは、出生直後と生後1カ月の2回に分けて飲ませます。医師の指示通りに飲ませるようにしましょう。
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育児に役立つ!知っておきたい先天性代謝異常の基礎知識

先天性代謝異常とは人が外から物質を吸収し、合成したり分解して、その生命活動を維持しています。この体内での化学変化が「代謝」です。食べ物を消化吸収、分解してエネルギー源に変換するのもその一つですね。代謝異常とはこの働きにトラブルが起こることです一方、子どもの代謝異常はそのほとんどが先天性(生まれつき)です。そして、こうした先天性代謝異常は、早期発見・早期治療でその病気による悪影響を予防できるものもあります。たとえばアミノ酸の代謝異常で起こるフェニルケトン尿症やメープルシロップ尿症などです。新生児のスクリーニング検査は、これらの病気を早期発見するために行われています。
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胎便とは?生まれきた赤ちゃんが最初に出すうんち

胎便とは? 胎便とは、生まれてきた赤ちゃんが最初に出すうんちのことです。ネバネバした黒っぽい緑色をしており、独特の臭いがあります。胎便は、赤ちゃんが胎内で羊水を飲み込むことで形成されます。羊水には、胎児の皮膚や毛髪、羊膜などの成分が含まれており、胎便はこのような成分が固まってできたものです。 胎便は、通常、出生後24時間以内に排出されます。しかし、中には出生後数日経っても胎便が出ない赤ちゃんもいます。これは、胎児が羊水をあまり飲み込まなかった場合や、腸の動きが弱い場合などに起こることがあります。胎便が出ない場合は、医師に相談しましょう。
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未熟児とは?~成長の過程を一緒に見守ろう~

未熟児の成長段階 未熟児とは、臓器機能が未発達で、胎外の生活に適応できる成熟度がない出生児のことです。以前は、出生体重2500g未満の出生児を未熟児と呼んでいました。現在は、1500g未満を極小未熟児、1000g未満を超未熟児と呼んでおり、1500g以上なら未熟児という言葉は使われなくなりました(1500~2500gの出生児は低出生体重児、または低体重新生児と呼ばれます)。 未熟児は、出生後も成長を続けて、やがて大人の体格に近づきます。しかし、未熟児は、出生時にすでに成長が遅れているため、出生後の成長速度は、満期児よりも速くなります。また、未熟児は、出生後にさまざまな健康問題を抱えることが多いため、定期的に医師の診察を受ける必要があります。 未熟児の成長段階は、以下の3つに分けられます。 1. 新生児期(生後0~28日) 2. 乳児期(生後29日~1歳) 3. 幼児期(1歳~6歳)
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蒙古斑ってどんなあざ?その原因と対処法

育児に関する用語『蒙古斑』 蒙古斑とは、アジア人の多くに見られる、お尻や腰、背中などに見られる青いあざのことです。 日本人の約90%にあるといわれており、青く見えるのは皮膚の下にメラニン色素細胞が多いためです(ママの顔のシミの原因でもある色素です)。そのほとんどは成長とともに薄くなって消えますが、まれに大人になっても残っていることがあります。 蒙古斑の原因は、メラニン色素が皮膚の深い部分に沈着することによって起こります。メラニン色素は、紫外線から肌を守るための色素で、日焼けをすると増え、シミの原因になります。蒙古斑は、紫外線とは関係なく発生するため、日焼けをしても濃くなることはありません。 蒙古斑は、出生後に数カ月から1年ほどで薄くなり始め、3歳頃までにほとんどが消えます。まれに、大人になっても残っていることがありますが、これは蒙古斑が濃い場合や、皮膚が薄い場合などに起こります。蒙古斑が残っていても、健康に影響はありません。
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難聴に関する用語を知る

「難聴」とは、字の通り「聴こえにくい」状態ですが、程度や状況は人によって様々です。 聞こえの程度によって、軽度難聴、中等度難聴、高度難聴、重度難聴と区分されています。また、片耳だけ聞こえない一側性難聴の場合もあります。生まれつき(先天性)の難聴や新生児期に発症する聴覚障害は、1,000人に1~2人といわれていますが、これまでは2歳を過ぎてからの「ことばの遅れ」によってようやく発見され、支援開始が3歳以降になることがしばしばありました。しかし難聴や聴覚障害は、早期に発見し、早期に適切な療育を始めることで、言語習得への影響を最小限におさえられる可能性もあります。
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赤ちゃんの大泉門を理解する

大泉門とは、赤ちゃんの頭蓋骨の頂点にある、骨と骨の継ぎ目部分です。 ひし形の形状をしており、ママが触ると「ぺこぺこしている」と感じる部分です。生まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨は、左右、前面などいくつかのパーツに分かれており、それぞれの継ぎ目部分にすき間があります。分娩時には、このすきま部分を利用して骨と骨が重なり合い、頭のサイズを小さくして狭い産道を通ります。ちなみに後頭部にあるすきま部分は「小泉門(しょうせんもん)」といいます。小泉門は、三角形の形をしています。
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巨大児について|出産時4,000g以上の赤ちゃん

巨大児とは、出生時の体重が4,000g以上の赤ちゃんのことです。通常、赤ちゃんの体重は3,000g前後なので、巨大児は平均体重よりも大きく生まれてきます。巨大児には、いくつかの原因が考えられています。 最も多いのが、妊娠糖尿病です。妊娠糖尿病は、妊娠中に血糖値が高くなる病気で、巨大児を出産するリスクが高まります。妊娠糖尿病は、肥満や妊娠前の糖尿病、家族歴などの要因によって起こりやすくなります。 また、母親の年齢が高い場合や、妊娠中に多量の羊水がある場合も、巨大児を出産するリスクが高まります。巨大児は、出生時に低血糖や呼吸困難などの合併症を起こすことがあり、注意が必要です。
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子育て用語集『産毛』について

産毛が生える理由 産毛が生える理由は、まだ完全には解明されていないことに留意することが重要です。しかし、いくつかの理論が考えられています。そのうちの1つは、産毛は胎児を子宮内の羊水から保護するためにあるというものです。産毛は胎児の皮膚を覆い、羊水の刺激から保護します。また、産毛は胎児を体温から保護する役割も果たします。 もう一つの理論は、産毛は胎児が母乳を飲むための準備のために生えるとされています。産毛は母乳を飲むときの感覚を刺激し、赤ちゃんが母乳を飲みやすくなるようにすると言われています。 どの理論が正しいにせよ、産毛は赤ちゃんが正常に成長するために重要な役割を果たしていることは明らかです。産毛は赤ちゃんを子宮内と出生後の両方で保護します。また、産毛は赤ちゃんが母乳を飲むための準備にも役立ちます。
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低出生体重児ってどういう赤ちゃん?

低出生体重児とは、体重が2,500g未満で生まれた赤ちゃんをいいます。出生後に市町村への届け出が必要です。1,500g未満の赤ちゃんは「極低出生体重児」、1,000g未満の場合は「超低出生体重児」といいます。早産児は妊娠週数が37週未満で生まれた赤ちゃんをいい、その多くが2,500g未満です。低出生体重児とともに、一般に「未熟児」と呼ばれています。 未熟児は、出生直後にさまざまな健康上の問題を抱えることが多く、特に極低出生体重児や超低出生体重児は、生存率や障害の発生率が高いことが知られています。未熟児のケアには、専門的な知識と技術が必要です。
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ビタミンK2シロップってなに?

ビタミンK2シロップとは? ビタミンK2シロップは、ビタミンK欠乏性出血症の予防目的に使用される医薬品であり、ビタミンKの1種である「メナキノン-7」を主成分としています。ビタミンKは、血液を固める働きに関係する成分であり、生後すぐの赤ちゃんはビタミンKが不足しがちであるため、ビタミンK2シロップが投与されます。ビタミンK2シロップは、出生時、生後1週間(産科退院時)、1か月健診時の計3回投与され、完全母乳の赤ちゃんの場合には、生後3か月までは週1回の投与が推奨されています。医師の指示通りにビタミンK2シロップを投与することは、ビタミンK欠乏性出血症の予防に欠かせません。
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ビリルビンってなに?赤ちゃんの緑便の原因は胆汁色素!

ビリルビン(胆汁色素。本来は黄色ですが、体外にでて空気に触れると緑色に見えます。赤ちゃんのうんちが緑色に見えるのも、うんちの中に含まれるビリルビンのためで、緑便も正常です。) ビリルビンとは? ビリルビンとは、赤血球が分解されるときに生成される物質です。ビリルビンは、肝臓で処理され、胆汁として体外に排出されます。胆汁は、脂肪の消化を助ける役割があります。赤ちゃんは、生後すぐにビリルビン値が高くなることがあります。これは、赤ちゃんの肝臓がまだ十分に発達しておらず、ビリルビンを処理しきれないためです。ビリルビン値が高いと、黄疸と呼ばれる症状が現れます。黄疸は、皮膚や白目が黄色くなる症状です。黄疸は、通常、生後1~2週間で治まりますが、ひどい場合は、治療が必要になることもあります。
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スクリーニング検査の重要性と種類

スクリーニング検査とは、大勢の人(赤ちゃん)の中から「その病気の疑いのある人」を早く発見し、早期の適切な治療や病気のコントロールにつなげるための検査です。結果が陽性の場合、その病気が「疑わしい」というもので、さらにくわしい検査をする必要があります。赤ちゃんでは、代表に先天性代謝異常と先天性の内分泌の病気のスクリーニングがあります(生後すぐ、かかとからほんの少し血液をとって行う検査です)。これまではフェニルケトン尿症など4種類の先天性代謝異常、さらに先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、先天性副腎過形成症という計6種類の病気が対象でしたが、2012年4月からは新しい方法(タンデムマス法)による検査が導入され、発見できる病気の種類は19種類となり、2018年度からは全部で20種類となりました。